平凡で普通でも、のぼり生地の中ではナンバーワン人気
のぼり旗の制作に使う生地というと、どこの専門店のサイトを探っても、2種類~3種類のおすすめが出てくる感じで、その他の生地については、あまり詳しく触れられていません。いまどき生地を選べないなんて不思議です。
のぼり旗の生地で有名なのはテトロンポンジという生地。略してポンジなどとも呼ばれています。サイトによく出てくる理由は、のぼり旗の制作で使われる生地の、9割近くがこの生地だからです。人気があるのです。
のぼり旗の9割を占める生地
●テトロンポンジ
インクの発色が良くてクッキリ映える。薄くて扱いが簡単で風によくなびくなどの特徴があります。何より価格が安いのが魅力。耐久性は高くはないものの3カ月はもつため、季節ごとに新しくする商店などには好適。スーパーマーケットやコンビニなどでよく見かけるタイプです。
個性的で特徴の多いその他の生地
●トロピカル(ハイパフォーマンス生地)
テトロンポンジより太い糸で織られています。密度があり耐久性にすぐれ、発色性にすぐれているのがポイント。インクののりも良好です。生地が厚くなるので、若干重たくなるのが難点です。
●ツイル
素材はポリエステルで、トロピカルよりもさらに太い糸で織られているため、強度は抜群です。生地が厚くなるので重たくなることと、風にはなびかないこと。また収納の際には若干面倒です。どちらかというと、室内向き。
●スウェード
生地そのものにツヤがあり発色性は抜群です。細い糸を使っていますが密度が高いので強度もまずまずです。高級感のあるツヤで、味自慢のレストランなどで使われています。
●トロマット
太い糸で織られた厚手の生地が特徴です。しっとりした感触なので写真や画像など、ディテール表現を重視したいのぼり旗制作には向いています。どちらかというと、横断幕やのれん用に人気があります。
●ポリエステル天竺
綿とポリエステルが混紡になった生地です。和の風合いが強いため、一般的なのぼり旗には用いられません。店や催事のコンセプトと合えば最高の生地です。強度はまずまずです。
●遮光ツイル/遮光スウェード
先にご紹介したツイルやスウェードの生地に遮光材を挟み込んだ生地です。光を通さないため、写真・画像、ディテール表現が鮮明にできます。また両面印刷が可能です。商店街のアーケード、アウトレットモールなど、両方向から人の流れがある場所、室内イベント会場に適しています。
さらなる個性を求め制作するなら、高いけどこんな生地
生地の種類や縫製法のセレクトを特別にすると、当然ですが制作料金は高くなります。またブティック系の個店では、のぼり旗1~3本といった小ロットでの発注が多いようですが、1枚では単価が高くなります。
カワイくて丈夫な旗作りのまとめ
生地の話として付け加えるなら、神社ののぼり旗として多用されている「天竺(テンジク)」や「葛城(カツラギ)」といったものもあります。天竺は綿でできているため、独特の柔らかい風合いがあり、耐久性もまずまずです。
カツラギは天竺よりも厚手の生地なので、耐久性はありますが、60×180mcなどの一般のぼり旗の生地としては不向きです。天竺、カツラギともに価格が高いのが難点で、一般ののぼり用としてはほとんど使われていません。
コストパフォーマンスの面もあって、個性や差別化を生地で果たすのはむずかしいものです。結局のところ、のぼり旗の制作用として総合評価の高い生地、1つか2つに絞られてしまうというのが実状です。